研究概要 |
(1)山口県下の10病院において,混注した高カロリー輸液の投与残液(n=192)を回収して,これらの残液の異物ならびに微生物汚染について調べた.その結果,これらの投与残液(平均50mL)のうちの5mL中では,いずれのサンプルも微生物汚染はみられなかった.しかし,異物は≧1.3μm.57の粒径が960.9個/mL,≧5μmの粒径が42.8個/mL,≧10μmの粒径が6.4個/mL含まれていた.また,X線分析装置付き走査電子顕微鏡で,これらの異物はおもにガラス片であることが判明した.高カロリー輸液の投与時には,インラインフィルタの使用が必須である. (2)山口県下の10病院において,使用中の超音波ネブライザー内の吸入液(n=76)の微生物汚染について調べた.その結果,76サンプル中11サンプル(14.5%)が10〜10^2生菌/mL,また9サンプル(11.8%)が10^3〜10^5生菌数/mLの細菌汚染を受けていた.おもな汚染菌はBurkholderia cepaciaやCDC gr.IV C-2などのブドウ糖非発酵菌であった.また,超音波ネブライザーの消毒頻度の比較で,2〜7日ごとの消毒のほうが,1日1回の消毒と比べて,吸入液の細菌汚染の頻度が有意に高かった.超音波ネブライザーには24時間ごとの消毒が必要である.
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