研究概要 |
各種シクロデキストリン/デンドリマー(CDE)結合体の中で遺伝子発現効果に優れるα-CDE結合体(G3,2.4)およびその結合体にガラクトース分子またはマンノース分子を結合させたそれぞれGalCDE結合体及びMan-α-CDE結合体を新規に合成し、その構造をNMRなどにて確認するとともに、遺伝子導入効率について検討した。次に、siRNA研究領域において汎用されているルシフェラーゼを発現するpGL3 control vectorをトランスフェクションすることにより作製したルシフェラーゼ遺伝子一過性発現細胞及びルシフェラーゼ遺伝子安定発現細胞を用いて、pGL3 siRNAと各種キャリアをトランスフェクション後のルシフェラーゼ活性を指標に、RNAi効果に対する各種CDE結合体および市販の遺伝子・siRNA導入試薬(Lipofectamine2000, RNAiFect, TransFast, Lipofection)の影響を比較検討した。その結果、α-CDE結合体はこれら市販導入試薬に比べて、塩基配列特異的なRNAi効果を示し、かつその効果は非常にバラツキが小さく、高い再現性を示すことを明らかにした。また、α-CDE結合体/siRNA複合体の細胞傷害性は市販の導入試薬系に比べて非常に小さかった。これらsiRNAと各種キャリアとの複合体の物理化学的性質を検討した結果、α-CDE複合体は市販のカチオン性脂質由来の遺伝子・siRNA導入試薬に比べて安定な複合体を形成することが示され、これがα-CDE結合体系の優れたRNAi効果の一因であることが示唆された。さらに、α-CDE結合体はヘアピン型siRNA発現ベクターの遺伝子発現抑制効果に対しても優れたRNAi効果を示した。今後、内因性遺伝子発現に及ぼすRNAi効果の確認ならびにin vivoにおける効果について検討する。
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