研究概要 |
スタチン系薬物(シンバスタチン、プラバスタチン)によるがん細胞の細胞死について検討を行った。すなわち、スーパーオキシドディスムターゼ、グルタチオンペルオキシダーゼなどの活性酸素消去酵素の活性バランスが異なるがん細胞(ACHN, ACVB)を用い、シンバスタチン、プラバスタチンなどのHMG-CoA還元酵素阻害剤と共に培養し、シンバスタチンはプラバスタチンよりも低濃度で細胞生存性へ影響を与えることを明らかにした。 次に、不飽和脂肪酸含有O/W型エマルションの体内動態について検討を行った。ω-3不飽和脂肪酸を含む油脂と卵黄レシチンを用いて高性能乳化機(マイクロフルイダイザー)により、粒子径などを制御したO/W型エマルションを調製した。エマルション中に含まれるメナテトレノンのラットにおける体内動態や血中滞留性について、ω-3不飽和脂肪酸を含む油脂を用いたエマルションと大豆油と卵黄レシチンによるエマルションと比較し、ω-3不飽和脂肪酸を含む油脂を用いたエマルションも大豆油と卵黄レシチンによるエマルションと同様に脂溶性薬物のキャリヤーとして有用であることを明らかにした。その成果の一部は第19回日本薬物動態学会年会(2004.10.18金沢)にて発表を行った。 また、ステロイド誘導体を用いたがん細胞の細胞死については、ACHN, ACVBにおける2-メトキシエストラジオールの高酸素条件下、細胞生存性におよぼす影響について解析した。また、ブチオニンスルフォキシミン(BSO)を持いて細胞内グルタチオンレベルを低下させることで、細胞内活性酸素消去酵素活性のバランスを修飾した状態における高酸素条件下、2-メトキシエストラジオールの細胞生存性におよぼす影響について解析し、ACVBにおいて顕著な殺細胞効果を得た。その成果の一部は日本薬学会125年会(2005.3.29東京)にて発表を行った。
|