研究概要 |
エストロゲン代謝物の2-メトキシエストラジオールによる腎ガン細胞(ACHN,ACVB)の細胞死について検討を行った.その結果,細胞内のグルタチオンレベルを低下させた場合,2-メトキシエストラジオールと過酸化水素の併用による細胞死誘導効果が顕著に増強することを認めた.そして細胞内の活性酸素レベルが上昇した場合,腎ガン細胞では細胞死に至りやすいことが示唆された. 40%酸素条件下で腎ガン細胞ACHNを培養した場合,通常の20%酸素下での培養時よりもグルタチオンレベルを低下させると,細胞生存率の低下しやすいことを認めた.そしてさらにロテノンを処置した場合,細胞内活性酸素レベルが上昇し,細胞死に誘導される細胞の多いことを観察した.これら成果の一部は日本薬学会第126年会(2006.3.39仙台)で発表を行った. 各種のo/w型脂質エマルションで肝ガン細胞HepG2を処置したところ,n-6系不飽和脂肪酸の含有率の高い大豆油で調製したエマルションにより細胞生存性の低下することが観察され,その殺細胞効果はn-3系不飽和脂肪酸を高含有する脂質を用いて調製したエマルションよりも強いことが認められた.その成果の一部は日本薬学会第126年会(2006.3.39仙台)で発表を行った. シンバスタチンによる腎ガン細胞ACVBの細胞死にグルタチオンレベルの影響は少ないことを認めたが,n-3系不飽和脂肪酸のドコサヘキサエン酸(DHA)ではグルタチオンレベルの低下により殺細胞効果の増強効果を認め,その際細胞内過酸化水素レベルの上昇と細胞内過酸化脂質量の増加を観察した.またDHAの殺細胞効果にメバロン酸経路の関与していることを示唆する結果を得た.その成果の一部は第16回日本医療薬学年会(金沢)で発表を予定している.
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