研究課題
申請者らはマウスに抗CD3抗体を投与するとIELを活性化し、その結果、正常マウスでは、iIEL刺激後30分で、絨毛全体にわたる上皮細胞にDNA断片化が生じ、2時間後には激しい下痢と細胞剥離が起こることを見出した。一般にIELが活性化されるとIELからTNFαが分泌され上皮細胞のDNA断片化と細胞剥離が起こると考えられていたが、申請者らの実験系では、(1)絨毛上皮細胞にDNAの断片化を引き起こす機構と、細胞剥離を誘導する機序とは異なること、(3)DNAの断片化の誘導因子はTNFαではないこと、などを明らかにした。本課題は、(1)IEL活性化の結果起こる絨毛上皮細胞のDNA断片化誘導因子は何か、(2)抗CD3抗体で活性化されたIELが分泌する因子にはTNFα以外にどのようなものがあるのか、等を明らかにし、絨毛上皮細胞のDNA断片化の医学的、生物学的意義を考察することが目的である。本年度の成果:ノックアウトマウスによる解析(1)正常マウスに抗CD3抗体を投与して現象の再確認を行った。(2)TNFレセプター(R)1ノックアウトマウスに、抗CD3抗体を投与すると、同様に絨毛上皮細胞のDNAの断片化が起こることが確認され、あらためてDNAの断片化の誘導因子はTNFαではないことを確認した。(3)パーフォリンノックアウトマウスに抗CD3抗体を投与しても、絨毛上皮細胞のDNAの断片化は起こらなかった。従って、小腸絨毛上皮細胞のDNAの断片化にはパーフォリン・グランザイム系が作用していることが濃厚となった。
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Eur.J.Immunol. (In press)
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