研究概要 |
DNAマイクロアレイおよびリアルタイムRT-PCRにより、精巣上体で強くあるいは特異的に発現する新規の遺伝子1種(Serpinalf)、および精巣上体での機能が不明な4種の遺伝子(Lcpl, Cuzdl, Teddml, Wfdcl6)を同定し、これらの発現が思春期の頃に急増することを確かめた。In situ hybridizationにより、LcplおよびWfdc16は間質で、Teddmlはinitial segmentの上皮で、Cuzd1は全域の上皮で、Serpinalfは頭から尾の上皮で発現することを明らかにした。去勢およびその後のホルモン補充実験により、Lcplの発現にホルモンは関与しないこと、Teddmlは去勢により発現が下がるが、ホルモンを補充しても回復しないこと、その他(Cuzdl, Wfdc16,Serpinalf)はアンドロゲンの有無により発現制御を受けることを明らかにした。また、これらの遺伝子は新生児期にdiethylstilbestrol (DES)に曝露することにより、発現が低下することを明らかにした。 次に水チャネル蛋白質であるアクアポリン(AQP)に注目し、その発現を解析した。正常マウスの精巣上体では、現在知られている13種類のアイソフォームのうちAQP1-9およびAQP11の10種類が発現しており、AQP5は体部、AQP6は頭部および体部、AQP9と11は体部および尾部で強く発現することが確認された。新生児期DES曝露により頭部におけるAQP6の低下、体部と尾部におけるAQP9の低下、尾部におけるAQP11の低下が見られたが、AQP5は変化しなかった。このように、新生仔期DES曝露は成獣マウス精巣上体内での水輸送に影響を及ぼす可能性が示唆された。またその影響は精巣上体の部位ごとに異なることが分かった。
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