研究課題/領域番号 |
16590145
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
石村 和敬 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (90112185)
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研究分担者 |
樋田 一徳 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (40253405)
山本 登志子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (60301313)
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キーワード | 神経ステロイド / 嗅球 / ステロイド合成酵素 / 17β-エストラジオール |
研究概要 |
本研究の目的は、ラット及びマウスの嗅球における神経ステロイド合成とその作用機序、合成酵素の発現動態を明らかにし、神経組織そのものが産生するステロイドの生理的意義を明らかにすることである。 平成16年度に行った嗅球におけるステロイド合成酵素及び受容体の発現について形態学的、分子生物学的な研究結果は以下の通りである。 1.ステロイド合成酵素(P450scc、アロマターゼ、17β-HSD、P450c17、3β-HSD、5αリダクターゼ)及びエストロゲン受容体(ER)の局在の解析 上記の酵素と受容体の特異抗体と各種マーカー抗体を用いて免疫組織化学的な解析を行った。5αリダクターゼを除く酵素とERαは神経細胞に局在し、少なくとも投射神経細胞には全ての酵素が共存した。一方、5αリダクターゼは主としてグリア細胞に存在した。また、RT-PCR法、ノーザンブロット法、ウエスタンブロット法で各酵素と受容体の遺伝子ならびに蛋白質の発現を確認した。さらに、P450c17、17β-HSD、5αリダクターゼについては嗅球における酵素活性も検出された。 2.17β-エストラジオール(E2)持続投与による各酵素や受容体の発現と局在の変動解析 E2を持続投与したマウスについて、発現量の解析を行ったところ、P450scc、アロマターゼ、P450c17、3β-HSDの発現が抑制されたが、その他の酵素とERαの発現量に変化は認められなかった。P450c17、17β-HSD、5αリダクターゼの酵素活性も発現量の変化に相関する結果であった。形態学的な解析では、いずれの酵素や受容体とも、明らかな局在の違いは認められなかった。以上の結果より、中枢神経系では初めて、嗅球に完全な神経ステロイド合成系が存在することが明らかとなった。また、E2投与によるP450scc、アロマターゼ、P450c17、3β-HSDの発現調節が示唆された。
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