近年ホルモン作用後に短時間で起こる非ゲノミックな種々の現象が、膜結合エストロゲン受容体(M-ER)を介して引き起こされてしることが示唆されている。しかしM-ERの実体および局在は不明である。今年度は免疫電顕法を用いてその細胞内局在を検索した。同時に膜結合キナーゼである上皮成長因子受容体(EGFR)の共存の有無を検索した。 1)M-ERの免疫電顕による局在の証明 去勢した成熟雌マウスに17β-estradiol(E2)を投与し、5分、10分、20分後に子宮を摘出した。ホルムアルデヒドで固定後、Lowicryl-K4Mに包埋し、超薄切片を作成した。2種類の抗ERα抗体を用いて、金コロイド標識抗体法でM-ERの検出を試みた。ERαは核の分散したクロマチン上に検出できたが、細胞膜上には反応は認められなかった。 現在、陽性反応を得るために、固定法の改良と種々の緩衝液中での加熱による抗原の賦活化を試みている。同時に凍結超薄切片を用いた検出も試みている。 2)EFGRの局在の証明 マウス子宮においてEFGRの局在の検索を光顕、電顕レベルで検索した。EFGRは主として、上皮細胞の管腔側の細胞膜上に検出された。電顕で観察すると、カベオラと思われる部位に反応が認められた。現在カベオリン1との二重染色を試みている。 3)現在、培養細胞(MCF-7人乳癌細胞株)を用いて、光顕、電顕レベルで同様な検索を行う準備をしている。
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