研究課題/領域番号 |
16590158
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研究機関 | 甲子園大学 |
研究代表者 |
後藤 隆洋 甲子園大学, 栄養学部, 教授 (20135693)
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研究分担者 |
内山 安男 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10049091)
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キーワード | 老化促進マウス / 神経細胞 / 肝細胞 / 赤ワイン / ポリフェノール / ウコン / 免疫組織細胞化学 / ウエスタンブロット |
研究概要 |
老化促進マウス(SAM P10)の神経細胞がアルコール投与により、構造及び性質がどのように障害され、その障害をポリフェノールなどの植物化学物質(フィトケミカル)で予防あるいは抑制できるかを解明する一環として、本年度はアルコールの影響を直接に受ける肝臓の変化について解析した。まず酒類の中で最もポリフェノールを豊富に含む赤ワインの肝細胞への影響について、他のアルコール類、すなわち日本酒と純粋のエタノールとをエタノール濃度を一定にして比較検討した。その結果、アルコールによる肝細胞の障害程度、すなわち脂肪滴や核小体の増加の程度が赤ワインで最も少なく、日本酒とエタノールではほぼ同程度の著しい肝細胞の障害性変化がみられた。従って、赤ワイン投与では肝細胞へのアルコールによる障害を赤ワインのポリフェノールが抑制することが示唆される。さらに、遂行中であるが、このマウスの小脳プルキンエ細胞の変化も肝細胞同様、他のアルコール類に比べて、赤ワインでその障害程度が減少していることがわかった。今回は飲料水の代わりにアルコール類を連続的に投与したが、飲料水を与えながら適量の赤ワインを投与すれば、神経細胞の加齢的変化を遅らすことが期待される。次にアルコールの障害作用を抑制すると言われているポリフェノールの一種であるウコンの老化あるいは変性神経細胞に対する効果を解析する目的で、アルコール投与の肝臓でどのような効果があるかを検索した。この場合は純粋の希釈エタノールのみを用い、エタノールのみ投投したものとエタノールとウコンを同時投与したものを比較した。その結果、ウコンをアルコールと同時投与すると、肝細胞の脂肪滴の増加やディッセ腔への膠原線維の出現などのアルコール障害作用が有意に抑制された。神経細胞での変化は現在解析を開始しているが、赤ワインの場合と同様の結果が予想される。従って、アルコールなしでウコン単独投与であれば、神経細胞の老化や変性さらには細胞死を抑制できることが示唆される。
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