研究概要 |
本研究は、遺伝子操作したマウスとH-1核磁気共鳴画像(MRI)法により脳組織の各部位での血液脳関門・細胞膜の水透過性を測定し、脳組織の水透過モデルを確立することを目的とする。実験動物として、タイトジャンクション蛋白質であるクローディンをノックアウトしたマウスおよび正常マウスを用いた。平成16年4月に研究代表者が所属替えとなり、研究体制が大きく変わってしまった。本年度の最低限のデータを採取するために、7月まで京都府立医大で7T NMR装置を用い、クローディン5ノックアウトマウスについて、Gd-DTPA,Polylysine-DTPA-Gd、NMS-60を用い、脳毛細血管の水透過性と脳実質細胞の水透過性の定量化を行った。その後、7T NMR装置を獨協医科大学に移設した。麻酔機や実体顕微鏡など周辺の実験装置が皆無であった為に、これら周辺の設備を揃えつつNMR装置の調整を行ってきた。残念ながら、超伝導磁石の不調やコンピュータや分光器本体の故障など予想しないトラブルが続発し、装置の調整がなんとかできたのは1月になってからであった。特に水拡散測定用のマイクロイメージングコイルの損傷により、クローディン11ノックアウトマウスの水拡散速度の測定は全く進んでいない(平成17年5月頃修理予定)。しかし、マウス用プローブの作製と調整は順調にすすんでおり、現在、マウスの麻酔管理の詰めを行っているところである。 クローディン5ノックアウトマウスについては、学会で発表を行い、学会誌への発表の準備を行っているところである。予想外の事態の連続ではあったが、目的のおよそ2/3は達成できた。
|