研究概要 |
本研究は、遺伝子操作したマウスとH-1核磁気共鳴画像(MRI)法により脳組織の各部位での血液脳関門・細胞膜の水透過性を測定し、脳組織の水透過モデルを確立することを目的とした。実験動物として、タイトジャンクション蛋白質であるクローディンをノックアウトしたマウスおよび正常マウスを用いた。平成16年度は、クローディン5ノックアウトマウスについて、Gd-DTPA, Polylysine-DTPA-Gd、NMS-60を用い、7T NMR装置により脳毛細血管の水透過性と脳実質細胞の水透過性の定量化を行い、NMRマイクロスコピー国際会議など国際学会で報告を行った。その後、7T NMR装置の超伝導磁石や分光器本体の故障などに予期しないトラブルが続発し、実験が一時的に困難となったが、平成17年度は、自然科学研究機構の動物実験用MRI装置を利用することによりラット脳間質における水・電解質の拡散についてのデータを収集し、脳間質内の拡散と対流の異方性を明らかにすることができた。また、並行して、装置の修理調整、さらにマウス用プローブの作製と調整を行い、ガス麻酔下に4-6時間安定にMRIデータ収集を行えるシステムを構築した。このプローブを用い、in vivoでの拡散係数画像を150umの分解能で測定し、拡散係数画像から拡散の異方性をFractional Anisotropy Imaging、拡散係数の大きさをTrace Imagingとして画像化することができた。本研究課題の約8割の実験データを収集でき、唯一残っているクローディン11ノックアウトマウスのin vivo拡散器数の測定を準備している状況である。
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