研究課題/領域番号 |
16590172
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
村上 政隆 生理学研究所, 細胞器官研究系, 助教授 (10104275)
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研究分担者 |
尾崎 毅 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 動物実験センター, 助教授 (20045694)
橋本 貞充 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (10201708)
杉谷 博士 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (20050114)
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キーワード | 唾液腺 / 傍細胞輸送 / 細胞内cAMP / 細胞内Ca / 蛍光色素 / 細胞骨格 / aquaporin / アルブミン |
研究概要 |
原唾液は細胞からの分泌と傍細胞経路を通過した成分との混合物である。傍細胞輸送経路の調節機構の解明を目的に平成17年度実施した研究の概要は、 i)浸透圧センサーによる傍細胞輸送調節機構。灌流顎下腺(SMG)carbachol刺激時の水分泌速度を電子天秤で測定、sucrose添加により灌流液浸透圧を上昇させた場合の水分泌減少度は、浸透圧差のみにより水分泌が駆動される「浸透圧モデル」の予測より大きかった。一方、AQP5を浸透圧センサーとして高浸透圧になれば傍細胞経路を閉じるというモデルにデータは合致した。AQP5を低発現させたSMGでは浸透圧モデルと一致し、このSMGは基底側膜AQP5を欠き、浸透圧感知できないことで傍細胞輸送の調節が失われたと考えられた。さらに、Hgを導管から逆行性に注入し管腔膜のAQP5を破壊するとHg濃度に依存し水分泌は阻害されたが、高浸透圧による水分泌減少は正常ラットと同様だった。本結果により基底側細胞膜に存在するAQP5が灌流液の浸透圧を感知して傍細胞輸送ゲートをフィードバック制御し、等張分泌を維持する機構の存在が支持された. ii)傍細胞輸送調節の形態学的基盤。タイト結合が透過調節を行なう際に形態学的変化を起こすか否かを潅流顎下腺のタイト結合と腺腔側膜直下の細胞骨格の超微構造変化について、急速凍結法によるディープエッチング・フリーズフラクチャーレプリカ法により検討した。タイト結合を構成する膜内粒子は短小な微細線維を介し深部のアクチン線維束と直接結合していた。Muscarine受容体とβadrenaline受容体を同時に刺激すると、タイト結合の粒子配列が変化し基底側方向に伸長した。タイト結合部および腺腔側膜直下のアクチン線維束はより密となった。傍細胞輸送経路の透過性が亢進する際、腺腔側細胞膜直下のアクチン細胞骨格の動的な構造変化に伴いタイト結合の膜貫通蛋白の局在が変化する可能性が示された。 iii)水銀の細胞間分泌細管微小形態に及ぼす影響。高分解走査電子顕微鏡法を用いRiva(カリアリ大、イタリア)と共同で観察、水分泌が抑制され始める1から10μMでは形態は変化しないがこれ以上では細胞間分泌細管に全体に小皺が広がるのが観察された。
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