研究課題
基盤研究(C)
概日リズム中枢である視交叉上核(SCN)では、各細胞がリズムを刻むとともに互いに同調して一つのリズムを生み出している。本研究では、培養系においてバゾプレッシン(AVP)分泌リズムを調べることによって、このSCN内の同調機構を調べた。1.視交叉上核内における自由継続周期の局所的差異SCN切片を上下に腹側と背側に切り分けて培養すると、背側の方ぶAVP分泌リズムの周期が短く、腹側の周期は全体の周期と等しかった。一方、SCNを吻側、中央、尾側に分けると、中央部に比べ前後の切片は周期が短かった。このことからCoreの部分の周期は長く、Shellの部分の周期は短く、全体はCoreの周期に従うことガわかった。培養した切片を染色すると、VIPニューロンの割合が少ない切片では周期が短いことがわかった。SCN全体のスライス培養では、VIPアンタゴニストを投与すると周期が短くなった。2.視交叉上核内の光情報伝達スライス培養ではグルタミン酸アゴニストが、細胞培養ではVIPがAVP分泌リズムに光パルスタイプの位相変化を引き起こした。スライス培養におけるグルタミン酸アゴニストのAVP分泌リズムに対する効果は、間接的であり、VIPアンタゴニストの投与によって抑制された。以上の結果より、SCNにおいてはCore領域がShell領域のリズムを支配していること、CoreからShellへの情報伝達はVIPを介して行われることが示唆された。
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