研究課題
MAPキナーゼキナーゼキナーゼであるASK1の血管新生における役割について検討した。ASK1遺伝子ホモ接合性欠失マウス(ASK1ノックアウトマウス)において下肢虚血モデルを作製し、虚血後の血管新生、血管リモデリング及び血流回復の程度を、野生型(C57BL6J)マウスと比較検討した。ASK1ノックアウトマウスでは、レーザードップラー法による測定から野生型マウスと比較して下肢虚血後の下肢血流回復が有意に減弱していた。また、下肢の血管造影による検討から、下肢の血管新生もASK1ノックアウトマウスでは野生型マウスに比較して有意に減弱していた。さらにその機序を検討したところ、野生型マウスでは虚血下肢組織でASK1、およびMAPキナーゼのJNK、p38の著明な活性化がみられたが、ASK1ノックアウトマウスではASK1の活性はみられず、しかもJNK、p38の活性化も有意に減弱していた。さらに野生型マウスでは下肢虚血によりVEGFやMCP-1の発現やマクロファージ浸潤が著明に増加していたがASK1ノックアウトマウスではそれらも有意に減少していた。すなわち、下肢虚血ではASK1が活性化され、それがVEGFやMCP-1の発現を介して血管新生に関与していることがわかった。また、骨髄細胞の血管新生における関与についても現在検討中である。さらに、Matrigel plug assay法による血管新生を検討した。VEGF、MCP-1、アンジオテンシンIIそれぞれは血管新生作用があることが知られているが、ASK1の関与を検討するためにASK1ノックアウトマウスで検討した。これら血管新生作用を持つ因子すべてにおいてASK1ノックアウトマウスでは血管新生が著明に減弱しておりVEGF、MCP-1、アンジオテンシンIIによる血管新生には少なくとも一部ASK1が関与していると考えられる。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (4件)
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