研究課題
昨年度はレトロウイルスベクターを用いてヒトPGD_2合成酵素発現細胞を作製した。そして難治性疾患実験動物モデルとしてブレオマイシン誘発肺線維症モデルを作成し、合成酵素発現細胞をin vivoで導入し、その軽減作用および機序について解析を行った。その結果、調製したPGD_2合成酵素発現細胞が実験動物レベルで、線維化憎悪因子の発現を転写レベルで抑制することにより、特異的に病態を軽減することが示された。本年度は膠原病において併発・続発する強皮症におけるヒトPGD_2合成酵素発現細胞の導入効果についてさらにin vivoで検討を行なった。強皮症は結合組織の病変により皮膚が硬化する疾患であり、抗ヒスタミン剤では無効な耐え難い強掻痒を伴う。本邦での患者数は少ないが、欧米での罹患者は相当数にのぼる。強皮症モデルは、C3Hマウスの背部皮下に、塩酸ブレオマイシンを4週間連続投与することにより作成した。PGD_2合成酵素発現マウス胎児由来線維芽改変細胞は背部皮内に局所移入した。また対照群として、合成酵素cDNAを組み込まないレトロウイルスベクターを導入した線維芽細胞を投与した。PGD_2合成酵素発現細胞の導入群では、(1)皮膚硬化の指標とした組織学的な皮膚肥厚、ならびに皮膚組織中のヒドロキシプロリン量、(2)浸潤肥満細胞数、(3)血清ヒスタミン含量、(4)皮膚組織中trans forming growth factor-β・connective tissue growth factorの発現量は、いずれも対照群に比して、低下を示した。さらにPGD_2合成酵素の産物である15-deoxy-Δ^<12,14>-prostaglandin J_2の投与でも同様な軽減効果が認められたことから強皮症における抑制作用の一部はPPAR gammaを介することが示唆された。
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