研究課題
基盤研究(C)
霊長類におけるタキキニン神経系の生理的役割を明らかにし、新規気分障害治療薬の基礎的情報を得ることを目的として本研究を行った。1.アカゲザルの大脳組織から、タキキニン受容体rmNK-1およびrmNK-3cDNAをクローニングし、それぞれの受容体を恒久的に発現する培養細胞株を作製して、薬理学的性質を検討した。その結果、rmNK-1およびrmNK-3受容体は、ヒト型受容体発現細胞と同様のリガンド結合親和性を示した。受容体mRNAの脳内分布を定量的に解析した結果、大脳皮質には両受容体が広く分布し、扁桃体あるいは海馬などの情動記憶に関る部位においては、rmNK-1受容体が強く発現していた。これらの結果は、霊長類の高次機能におけるそれぞれのタキキニン作動性神経系の役割を反映していると考えられる。2.新規NK-1受容体トレーサーである[^<18>F]FE-SPA-RQを合成し、前臨床段階の試験として、本トレーサーの薬理学特性を検討した。[^<18>F]FE-SPA-RQを静脈内投与し、その脳内分布を高分解能PET装置で定量解析した結果、アカゲザルでは[^<18>F]FE-SPA-RQの線条体への集積が観察され、この集積が非ペプチド型NK-1受容体拮抗薬SDZ NKT343によりほぼ完全に阻害された。このことから、本実験系はNK-1受容体占有率を定量するのに有用であると考えられた。スナネズミを用いたPET画像とex vivoオートラジオグラフィー実験の比較検討によって、NK-1受容体イメージングや薬物の受容体占有率計測が小型げっ歯類においても同様に可能であることが示された。すなわち、[^<18>F]FE-SPA-RQによるin vivo定量解析システムが、NK-1受容体拮抗薬の薬効評価に向けた前臨床試験において有用であることが明確に示された。
すべて 2007 2006 2005
すべて 雑誌論文 (12件)
Neuropharmacology 52
ページ: 552-561
Synapse 61
ページ: 205-215
Eur J Neurosci 24
ページ: 1867-1873
Br J Pharmacol 147
ページ: 316-323
Mol Brain Res 138
ページ: 17-23
J Neurosci 25
ページ: 2108-2116