研究概要 |
1)c-MafによるCTGF遺伝子発現活性化の機構解明:アデノウイルスベクターに組み込んだc-maf,mafB遺伝子を線維芽細胞C3H10T1/2に導入したところ、両者ともCTGF mRNAの強い誘導が見られた。C-maf遺伝子破壊マウスの線維芽細胞ではCTGFの発現が野生株に比べ低い。これらの結果から、軟骨におけるc-Mafの標的遺伝子がCTGF遺伝子であることが示唆された。c-MafおよびMafBがどの領域に作用して活性化させるのかをレポータートランスフェクション分析、EMSA実験、クロマチン免疫沈降実験などによって解析した結果、CTGFプロモーター領域、およびその下流領域にMafが結合することがわかった。さらに、MafによるCTGF遺伝子の活性化はTGF-βによる活性化とは異なった機構である可能性が示唆された(論文準備中)。 2)DNAマイクロアレー法を用いたc-Maf標的遺伝子の探索と軟骨分化の転写因子カスケードの解析:c-maf遺伝子破壊マウスで特異的に発現が減少する遺伝子を、胎児性線維芽細胞を用いて、DNAマイクロアレー法で解析した結果、いくつかの軟骨に特異的に発現する遺伝子の発現低下が検出された。それらのうち、線維芽細胞増殖因子、Fgf-18およびFgf-9について特異的に発現低下が見られた。これらの因子はいずれも軟骨細胞の分化に重要な働きをしていることが報告されている遺伝子である。さらに、軟骨で働く細胞外基質の遺伝子や転写因子などの遺伝子もKOマウスにおける発現低下が見られた。今後、これらの遺伝子がどのようにMafによって活性化されているかを解析する予定である。
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