研究概要 |
1.c-MafによるCTGF遺伝子発現活性化機構:cMafおよびMafBは軟骨や脊髄、腎臓や肝臓の発生分化段階で特異的に発現されているが、これらの組織における機能は不明なことが多い。軟骨での機能を明らかにするため軟骨に分化可能な線維芽細胞にアデノウイルスを用いて遺伝子導入した結果、軟骨分化に重要な結合組織増殖因子(CTGF)遺伝子の強い誘導が見られた。MafによるCTGF遺伝子活性化の機構を解析した結果、CTGFプロモーター、およびその下流領域にMafが結合し活性化することを示し、MafによるCTGF遺伝子の活性化はTGF-・による活性化とは異なった機構であることを明らかにした(Biochem Biophys Res Commun.339,1089-1097(2006))。 2.DNAマイクロアレー法を用いたc-Maf標的遺伝子の探索:c-maf KOマウスで特異的に発現が減少する遺伝子を、DNAマイクロアレー法で解析した結果、軟骨細胞の分化に重要な線維芽細胞増殖因子(Fgf-18、Fgf-9)periostine遺伝子や軟骨で働く細胞外基質の遺伝子などの発現低下が見られた。これらの遺伝子を解析中であるが、Fgf18遺伝子ではそのイントロンにc-Maf結合配列がありMafによって強く活性化されることが明らかとなった。 3.Nrf2/MafKによって活性化されるグルタチオンS-トランスフェラーゼP(GST-P)遺伝子の転写抑制機構:ラットGST-P遺伝子は肝発癌に伴って発現される。この活性化はNrf2/MafKによることを明らかにしたが(Biochemical J.380,515-521(2004))、正常の肝細胞では発現が強く抑制されている。正常肝ではC/EBP・がNrf2/MafKの結合するエンハンサーGPE1に競合的に結合することにより抑制され、発癌の初期にはC/EBP・の発現が停止することによりGST-Pが発現される機構を明らかにした(J.Biol.Chem.印刷中)。
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