研究課題
Rhoの標的蛋白質であるmDiaおよびmDiaを介する新たな情報伝達経路の解析によって、細胞運動の時・空間的制御機構の解明を目指している。1)mDia結合蛋白質DIPを介した低分子量G蛋白質間の協調作用 新規mDia結合蛋白質DIPを見いだしていたが、線維芽細胞・上皮細胞を用いた解析から、DIPがGrowth Factor刺激によりSrc依存的にチロシンリン酸化されること、同時にp190RhoGAP、Vav2がリン酸化されることを見いだした。すなわちDIPのSrcによる活性化に伴い、Rhoの不活化、Racの活性化が起こることを確認した。また、この情報伝達にともないDIPがp190RhoGAP、Vav2を細胞膜直下に動員し、細胞形態や細胞運動を調節することを細胞生物学的に確認した。以前の報告と併せRho-mDia-Src-DIPを介したRhoへのnegative feedbackとRacの活性化という低分子量G蛋白質間の協調作用の存在、およびその機構の細胞運動への関与を示した。2)mDiaの軸索伸展作用におけるDIPの役割 一昨年度に小脳顆粒粒細胞の初代培養系を用いmDiaが軸索伸長に促進的に作用することを報告しているが、1)で見いだしたDIPの情報伝達経路がmDiaの作用を担っている可能性が大きいと考え、DIPの神経の成長円錐の形態維持・軸索伸長過程への寄与を検討中である。3)DIPのトランスジェニックマウスの作製 新たに見いだしたDIPの情報伝達機構の生理的意義を検証するため、DIPのトランスジェニックマウスを作製中であり、来年度に報告したい。
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生化学会誌 77・2
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