研究課題
基盤研究(C)
自然免疫に重要な補体依存性の食作用に着目して分子機構の解明に取り組んだ。食細胞として、マクロファージ様に分化したヒト白血病細胞株HL60(ビタミンD3+TPA、3日間)を、感染微生物のモデルとしてZymosan(Saccharomyces cerevisiae)を用いた。ヒト血清中での補体活性化機構を利用してZymosanをC3biで標識した。動画解析によりC3biに標識された場合のみ、ZymosanがHL60に速やかに捕捉され、吸い込まれるように貪食されることを確認した。さらに、このような補体を介した貪食の過程において、チロシンキナーゼSykが食胞のまわりに集積しかつ活性化することを見いだした。定量的貪食評価法としては蛍光Zymosanを用いた。フローサイトメトリーによる解析やトリパンブルー処理後に顕微鏡下で計測することにより、細胞内外のZymosanを区別して定量化した。これらの方法を用いて、補体を介した食作用においてSykがどのような機能を果たすか検討した。まずHL60の変異株(Dominant-negative Syk/HL60、Syk-siRNA/HL60、Rescue-Syk/Syk-siRNA/HL60)の安定発現株を作製し、親株と比較解析した。その結果、補体依存性のファゴサイトーシスにおいてチロシンキナーゼSykが補体受容体CR3を介した食胞の形成と輸送に必須の役割を果たすことを見いだした。さらにこれらに関わるSykの下流シグナルについて検討した。Sykが食胞形成初期に必須のF-アクチンの集積に重要な役割を果たし、Vav-RhoAシグナルを介して食胞の細胞内への取り込みに重要な収縮力に寄与する事を見いだした。本課題の2年間の成果は米国血液学会誌Bloodに掲載された。
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