研究概要 |
マウスMurr1/U2af1-rs1は両者ともインプリント遺伝子であり,Murr1遺伝子の第1イントロンにU2af1-rs1は位置している。マウスに対応する人遺伝子について調べたところ,ヒトMURR1にはマウスU2af1-rs1に対応する相同遺伝子が見当たらず、MURR1もインプリントを受けていなかった。マウスMurr1ならびにヒトMURR1の周辺500kb以内に3つの遺伝子、4930430E16Rik,Cct4,B3gnt1を同定した。これらの遺伝子は全て両アリル発現であり,インプリントを受けていなかった。このことはマウスインプリント領域がMurr1/U2af1-rs1のみに限られていること,およびU2af1-rs1の導入がこの領域のインプリンティングの原因となっていることが推測された。マウスU2af1-rs1のCpGアイランド(CGI)のメチル化状態を調べたところ,母親由来アリルのメチル化を示し、他のCGIは両アリルメチル化か非メチル化を示した。U2af1-rs1の生殖細胞系列でのメチル化解析では、CGIの5'領域に卵細胞特異的メチル化が見られ,この領域がU2af1-rs1のインプリンティングコントロール領域であり、マウスMurr1/U2af1-rs1領域におけるインプリンティング支配領域と考えられた。マウスU2af1-rs1の初期胚でのDNAメチル化状態を調べたところ,母性由来アリルのみがメチル化を受けていることが分かった。一方,マウス初代繊維芽細胞を使って、U2af1-rs1のヒストン修飾の状態を調べた。各種ヒストン抗体(H3アセチル化、H4アセチル化、H3リジン4メチル化)を使ってChIPアッセイを行ったところ,U2af1-rs1の活性化アリルである父性アリルが検出された。
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