研究概要 |
HEK293細胞にHA-c-Cblをトランスフェクションした細胞からHA-c-Cblを免疫沈降した。同様にインスリン受容体をインスリン受容体安定発現細胞株HIRcより免疫沈降した。これらの免疫沈降産物にE1,UbcH7,ATP,エネルギー再生系,および基質としてUbiquitin, Ubiquitin-KO(すべてのKをRに置換したもの)、Ubiquitin-K480(48-K以外のKをRに置換したもの)、あるいはUbiquitin-K630(63-K以外のKをRに置換したもの)を加えて、pH6.0,6.5,7.2に調整し、37℃で4時間反応させた。これらの試料をSDS-PAGE後、イムノブロットで解析した。その結果、pH6.0ではユビキチン化されたインスリン受容体量はUbiquitin>Ubiquitin-K630>,Ubiquitin-K480>Ubiquitin-KOの順で減少した。一方、pH7.2で反応させた試料はUbiquitin=Ubiquitin K480=Ubiquitin-K630=Ubiauitin-KOであった。pH6.5での反応では、pH6.0とpH6.5の中間であった。また、ユビキチン化されたタンパク質量はすべてのpHでUbiqutin>Ubiquitin-K630>Ubiquitin-K480>Ubiquitin KOであり、低いpHで反応させたものほど、ユビキチン化されたタンパク質量は少なかった。以上のことから、c-Cblによるインスリン受容体のユビキチン化は細胞質では複数のリジン残基をモノユビキチン化しているのに対して、後期エンドソームでは48Kおよび63Kを介したポリユビキチン化であると考えられた。
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