研究課題/領域番号 |
16590240
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
幡野 雅彦 千葉大学, バイオメデイカル研究センター, 助教授 (20208523)
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研究分担者 |
藤村 理紗 千葉大学, バイオメデイカル研究センター, 助手 (30376363)
徳久 剛史 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20134364)
有馬 雅史 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (00202763)
坂本 明美 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (90359597)
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キーワード | Ncx / 神経堤細胞 / Nczf / 転写因子 / 標的遺伝子 / クロマチン免疫沈降 / ノックアウトマウス |
研究概要 |
転写因子Ncx (neural crest homeobox, Enx, Hox11L1)は神経堤細胞由来の組織に発現しており、ノックアウト(-/-)マウスは腸管神経細胞数が正常より多いことによる巨大結腸症を呈す。このことからNcxは神経堤細胞の分化・増殖への関与が示唆されている。Ncxの神経堤細胞の分化・増殖における機能を明らかにする目的で、その標的遺伝子を同定し解析を行った。 FLAGで標識されたNcx発現ベクターを作成し、マウスC1300神経芽細胞腫細胞株に形質導入しFLAG-Ncx発現株を確立した。この細胞を用いてクロマチン免疫沈降法によりFLAG-Ncx蛋白と直接結合しているDNA断片をクローニングしその塩基配列解析をおこなった。さらに選定した遺伝子についてwild typeとNcx (-/-)マウスの腸管で発現量に差がある遺伝子を検索し、一つの標的遺伝子(以下NCZF)を同定した。NCZFはC2H2 type Zing FingerとKRAB domainを含有し全長約22kbで6つのexonを持つ新規遺伝子であり、第1exonより約500bp上流に4つのNcx結合のコンセンサス配列を含んでいた。NCZFの発現をwild typeとNcx (-/-)マウス由来の腸管を用いてそれぞれ定量的RT-PCRで調べたところ、Ncx (-/-)マウスにおいて約3分の1に減少していた。また、NCZFの腸管での発現は胎生14日および生後1週にピークを持ち、Ncxの腸管における発現パターンと相関していた。 次に、NCZFの機能をin vitroで調べるために、マウスMEF3T3細胞に形質導入した。しかしNCZFの安定高発現株は樹立できず、Tet offシステムを用いてNCZFを発現誘導したところ、アポトーシスによる細胞死が誘導された。このことからNCZFは細胞死を制御している可能性が示唆された。現在NCZFの個体発生、分化における機能を調べるためにknockout mouseを作成中である。
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