【目的】カルニチン欠乏による心筋細胞肥大発症に「代謝されない脂肪酸」がどのような分子機構で関与しているのかを明らかにすること 平成17年度においては、以下の実験を行い、結果を得るまたは現在進行形である。 1)食餌中脂質含量を減らしたことによって心肥大の進展を抑制したことをみいだしていたが、各種食餌(5%大豆油食、1%大豆油食、5%大豆油食+中鎖脂肪酸中性脂質)飼育での、心臓中の各種蓄積脂質含量を比べた。脂質含量の多い食餌の場合、心臓中の中性脂質含量が増加することを見出した。一方、コレステロール含量には違いはなかった。 2)心肥大発症に関連する核内タンパク質の網羅的解析を行なった。 カルニチン欠乏マウス心臓及び対照マウス心臓から、遠心分画法およびショ糖密度勾配法によって、細胞質画分および核画分を得た。二次元電気泳動での解析を行なっている。解析に必要な質量分析技術の向上のために、卵白アルブミンを認識する抗体のエピトープ決定を質量分析技術を用いて行った。 3)「代謝されない脂肪酸」の毒性が関与する新しい病態の発見 カルニチン欠乏マウスが絶食後た自発行動量が低下し、その機構に視床下部オレキシン細胞の活動性低下が関与する結果を得た。この事実は、脂肪酸代謝が亢進する絶食条件で、病態悪化が認められ、心臓のみならず、中枢神経においても「代謝されない脂肪酸」の毒性が発揮される可能性を示唆している。
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