研究課題/領域番号 |
16590265
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人類遺伝学
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研究機関 | 国立循環器病センター(研究所) |
研究代表者 |
森崎 裕子 国立循環器病センター(研究所), バイオサイエンス部, 室長 (40311451)
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研究分担者 |
森崎 隆幸 国立循環器病センター(研究所), バイオサイエンス部, 部長 (30174410)
白井 学 国立循環器病センター(研究所), バイオサイエンス部, 室員 (70294121)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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キーワード | 原発性肺高血圧症 / TGF-β / BMPR2 / ALK1 / BMP / Tbx2 / Has2 |
研究概要 |
(1)日本人原発性肺高血圧症(PPH)患者の遺伝子解析 原発性肺高血圧症(PPH)は、100万人に数人の頻度で認められる予後不良な疾患である。家族発症例の原因遺伝子としてBMPR2遺伝子が固定されており、また遺伝性出血性血管拡張症に合併した家族性PPHにおいては、同じTGF-βスーパーファミリー受容体であるALK1遺伝子の変異も固定されている。そこで、日本人PPH患者におけるこれらの遺伝子異常の関与を明らかにするため、国立循環器病センター(NCVC)および関連医療施設でのPPH患者、および、比較対照として、続発性肺高血圧症患者について、遺伝子解析を行った。NCVC症例では、PPH患者71例のうち、27例(家族発症例7例中7例(100%)、孤発例64例中20例(31%))において、BMPR2遺伝子変異を、孤発例3例(0.3%)において、ALK1遺伝子変異を固定した。また、孤発例における発癌年齢を、遺伝子変異の有無で比較したところ、遺伝子変異のある症例では発症年齢が有意に低かった(23.8yvs.34.8y; p=0.0018)。続発例69例では、SLEに続発した1例でBMPR2遺伝子変異を、CHD続発した1例でALK1遺伝子変異を同定した。一方、患者家族15例の解析において遺伝子変異は8例に認められたが、発症は1例のみで、残りは保因者または未発症例であった。以上より、BMPR2およびALK1遺伝子異常は、強力な発症因子ではあるが、その他の因子の関与も大きいと考えられた。また、関連医療施設患者PPH患者54例の解析では、11例でBMPR2遺伝子変異を、1例でALK1遺伝子変異を固定した。 (2)Tbx2変異マウスの解析 PPHの候補要因遺伝子として、BMPにより直接発現制御を受けているTbx2遺伝子に注目し、変異マウスの機能解析を行った。既に作製した発生中の心臓で異所的にTbx2を発現するマウスは、酸性ムコ多糖類であるヒアルロン酸の過剰蓄積から心内膜床の異常肥厚を生じ、心臓形態形成異常を引き起こしていた。QRT・PCR、whole-mount in situ hybridization等による解析により、今回、ヒアルロン酸合成酵素であるHas2、TGF-β2の遺伝子発現がTbx2により制御されている事が明らかになった。
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