研究概要 |
膜型アミノペプチダーゼとして知られるCD10,CD13,APA,CD26,placental leucine aminopeptidase(P-LAP)に対する抗体を用いて、ヒト組織およびさまざまな腫瘍を免疫組織化学的に染色した。手術材料や剖検材料から得られた正常なヒト組織および手術材料から得られた婦人科領域の腫瘍を中心に検討を行った。興味深いデータとしては、腎組織においてP-LAPが遠位尿細管に存在知るのに比して、CD10,CD13,APA,CD26は近位尿細管に存在し、さらにCD10,APAは糸球体にも存在することが分かった。さらにP-LAPはヒト膵のランゲルハンス島の細胞の一部にも存在し、その分布はGLUT4とほぼ同一であることが分かった。腫瘍組織においては、子宮内膜癌の悪性度とP-LAPの染色性に相関があること、さらにCD10の間質細胞での発現が、悪性度に比例して減弱することが示された。アミノペプチダーゼの関連する細胞増殖因子であるVEGFのレセプターおよびAPAに関連したAngiotensin II type1レセプターに関しても研究を発展させ、VEGFとそのレセプターに関しては子宮肉腫において発現率が高値になること、VEGF receptor1の発現が予後と相関することを明らかにした。Angiotensin II type1レセプターに関しては卵巣癌に高率に発現されていることと、その発現が腫瘍血管の増生と予後に相関していることが明らかになった。
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