研究概要 |
まず、平成14〜15年度基礎研究C(2)での計画の機能性p16 peptideの当超高効率蛋白分子輸送系による細胞内デリバリーによる高悪性度リンパ腫群増殖抑制システムの確立を継続研究し、成果としてまとめ"Molecular Cancer Therapeutics,3(12) Dec 2004"に報告した。平成16年度計画の第一段階実験として当トランスポーターが輸送・導入できる蛋白分子の範囲を検定し、2-3kDaの低分子から抗体を含め約500kDaレベルの高分子量蛋白まで導入可能であることが判明した。次に特異抗体が細胞内に取り込まれ且つ抗原特異的局在を示すか否かについて抗actin mAbを用いて検定し、肝癌細胞(上皮系)・骨肉腫細胞(間葉系)・メラノーマ細胞(神経系)など多系統の細胞で効率よく取り込みが見られ、抗体はアクチンの分布に一致する局在を示したが、p53抗体などによる核内抗原の捕捉はうまくいかなかった。また抗体フォームの最適化をwhole antibody, F(ab')2で検討したが両者に明らかな違いはなかった。抗体の当システムを応用した細胞内デリバリーは、以上の結果を得て現在発展的に研究継続中である。一方、当システムによる同時多重分子標的が可能であるかを平行して研究した。対象に難治性悪性腫瘍ヒト・グリオブラストーマを選び、これらが喪失した癌抑制遺伝子p16^<INK4a>、p14^<ARF>の同時機能回復による腫瘍増殖抑制を試みた。結果、p16^<INK4a>、p14^<ARF>機能を代償する機能性ペプチドの当輸送系による同時二重標的は可能で、グリオブラストーマ細胞株U87ΔEGFRでは、最大95%以上の劇的な増殖抑制を認めた。また、脳腫瘍モデルマウスを作成し、経静脈的にこれら2種の機能性ペプチドを投与したin vivo studyでも、二重標的群は統計学的に明かな有意差を持って生存期間の延長を認めた。
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