研究概要 |
沖縄県における頭頚部重複癌について以下のことを検討した。 1.ミスマッチ修復遺伝子(hMSH, hMLH, hPMS)の変化 2.癌遺伝子(p53, p16/15, ras, myc等)変異や増幅 3.ウイルス遺伝子(HPV, EBV)検出やウイルス遺伝子の変化 症例をさらに収集し、収集した症例は25例、平均年齢は74才(70-93才)、男性17例、女性8例、肺扁平上皮癌と頭頚部扁平上皮癌の合併が17例、肺小細胞癌3例、肺腺癌1例、合併している頭頚部癌は喉頭癌12例、口腔(舌を含む)癌10例、声帯癌等3例であった。 さらに症例のなかには、さらに食道癌も合併したもの3例、悪性リンパ腫も合併した3重癌が1例みられ、頭頚部癌にEBV(19例)、HPV(22例)が検出され、悪性リンパ腫もEBVが検出された。 EBVはA型が主であるが、本土と異なり、約3割の症例にB型が検出された。HPVは16と18型が主で、さらに11や6型が重複感染しているものも4割みられた。ミスマッチ修復遺伝子の変化は現在まで検出できた症例はみられなかった。15年の間に口腔癌、舌癌と悪性リンパ腫が発症した例はEBV type Aの感染がみられ、最後に発症したリンパ腫ではLMP-1領域に30bpのdeletionが起こっていた。組織学的には扁平上皮癌同士の重複がみられ、分化度が高い症例が多かった。さらに、高年齢で男性が多く、HPVやEBVの感染がみられることおよびEBVは本土と異なりEBNA2領域を検討するとB型の感染が3割もみられるという特徴が現在までの検討でみられている。症例を増やし検討したが、結果は昨年と同様でミスマッチ修復遺伝子の変化はなかった。
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