研究概要 |
(目的) 肝幹細胞を用いた肝再生療法は,慢性肝疾患患者に最も期待される治療法である. 組織特異的に存在する体性幹細胞は,特定の細胞系列にのみに分化能を有し,分裂時に自分と同じ能力を持つ細胞を再生(自己複製能)することによって,それぞれの組織を維持していると考えられている.体性幹細胞が臓器に細胞を供給し続けるためには,幹細胞自体がテロメアの短縮を免れ,分裂寿命を回避している必要がある.しかし,肝幹細胞のテロメア動態とテロメアの維持機構を研究した報告はない.このことは,肝幹細胞自体を同定する手段がなかったことが最大の原因である. しかし,近年肝臓にも骨髄と同様にABCG2遺伝子を発現するSP細胞(side population cell)が存在し,有力な肝幹細胞の候補であることが明らかとなった. 我々は,当該研究期間内において肝SP細胞を対象として,テロメア長と細胞分裂回数の関連,テロメア維持機構へのテロメラーゼの関与に関して解析を行い,テロメアの短縮を生じない効率的なSP細胞の分裂誘導法を明らかにする. (方法) in vitroでのSP細胞の分裂誘導実験,慢性薬剤性肝障害モデルにおけるSP細胞のテロメラーゼ活性とテロメア長の評価 (結果) 1)SP細胞の効率的分離採取に関して,FACSAriaを用いた方法を開発し,解析を進めている. 2)外因性のエストロゲンが肝細胞の分裂寿命を伸長することを明らかにした. (方向性) SP細胞の分裂に与えるエストロゲンの作用を検討する.
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