研究課題/領域番号 |
16590291
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
中村 眞一 岩手医科大学, 医学部, 教授 (20107816)
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研究分担者 |
幅野 渉 岩手医科大学, 医学部, 助手 (50332979)
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キーワード | Intestinal spirochetosis / Brachyspira pilosicoli / Brachyspira aalborgi / 細菌性大腸炎 / PCR / 人畜共通感染症 / 菌種同定 |
研究概要 |
1.症例の集積;現在までに経験したintestinal spirochetosis(IS)は68例である。コンサルテーション症例は東京以西からで、東京、四国、九州からである。臨床病理学的因子の検討では男性63名、女性5名、年齢は24-83歳(平均59.9歳)であった。66名が日本人で、2名(女性)が結婚のため来日したフィリピン人である。診断依頼病院の所在地で見ると岩手県で45件、青森県22件、秋田県1件である。岩手県内では、盛岡11件、千厩10件、花巻7件が目立つ。ISの病理診断は65名が大腸生検あるいはポリペクトミーで、2例は虫垂切除術、1例は前立腺生検材料である。IS特有の臨床症状はなく、内視鏡を行った動機は便潜血反応陽性、大腸ポリープの精査、不定の腹部症状などである。病理診断では39例に腺腫、4名に過形成性ポリープ、また3人に腸炎が見られた。 2.生検パラフィン材料からのスピロヘータの菌の同定:現在68症例のうち3症例で菌種同定は陰性であった。陽性結果の内Brachyspira aalborgi 51例、Brachyspira pilosicoli 9例、両種陽性が5例であった。両種症例ではaalborgiとpilosicoliのプライマーで増幅が見られ、重複感染例であるのか、プライマーの問題であるのか現在検討中である。またBrachyspira aalborgi 51例のうち最長10年間の感染歴が1例で証明されている。 3.フィリピン人二人(女性)にISが証明されたことで、日本で感染したのかフィリピン国内で症例があるのか、調査の必要がある。文献的にはフィリピンでのISの報告はない。また潰瘍性大腸炎と臨床診断が下された患者に広範なBrachyspira pilosicoli感染が見られた。潰瘍性大腸炎に偶然Brachyspira pilosicoliが感染したのかあるいはISのために潰瘍性大腸炎に似た腸炎が発症したのかその分析を行う必要がある。
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