研究課題/領域番号 |
16590296
|
研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
河上 牧夫 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (30056907)
|
研究分担者 |
鈴木 正章 東京慈恵医科大学, 医学部, 助教授 (70119816)
原田 徹 東京慈恵医科大学, 医学部, 講師 (80238188)
|
キーワード | 心筋線維 / 筋原線維 / monocock構造 / longitudinal splitting / Laplaceの法則 / 錯配列 / HCM / CCM |
研究概要 |
心筋線維は力学的作業をする筋組織に帰属するが、他と異なり次の如き形態的特性を要求されている。1)骨格筋は二支点間のlinearな収縮をするのに対し、心筋線維は面収縮対応型である。2)心筋収縮はperiodicalである。3)容積変動を司る上でのmonocock構造体の一部であると同時に、そこに加わるズレ応力負荷体である。そこでの各年齢層の生理的心筋の筋原線維の観察から次の諸結果が判明した。 1)生下時の輪状配列原線維を単位としてその内部に縦分裂性に筋原線維が新生されるが、そのもの自体は分子レベルのmonocock配列をとるのみならず、内部を筋原線維を充満chargeさせる。 2)筋原線維は一定量にchargeされると、細胞膜陥入が生じ、縦分裂が開始され、同時に筋線維の側枝が追加される。 3)その後は合成と中軸性融解消失の平衡が維持されるが、縦分裂が促進されると増加する側枝による胞体へのズレ応力が増し、筋線維の平行性が崩れ、極端な場合は超微形態像上にも錯配列が生する。HCM型の心筋組角異常の発生である。 4)筋原線維の絶対量は加齢的に増強するが、65才前後を境として縦分裂が低減する。これに伴い心筋線維のvolumeは増大する。 5)逆に筋原線維の合成力が低く、胞体中軸性にcytosoleが拡大している場合は、細胞により異常な筋原線維減少が進行して、遂にはいわゆる筋原線維を欠いた"histiocytoid cell"が出現する。抗伸展力の不足はLaplaceの法則から通常の3倍近くに壁張力を増すが、こうした心筋線維の過伸展状態はいわゆるCCM型の絶対的心不全相の外ならない。
|