心筋繊維は容量と負荷の2面を背負っている。本研究は心筋繊維のこの力学的負荷に対応する筋原繊維の在り方を通して、心臓の基本形態の視座から隠された病的変容の実態を探る試みである。方法は刺激発生-伝達-収縮の三位一体である心臓の筋原繊維のあり方をatriumからventricleに至る各部(SA-AV-RV-LA-RV-LV)で観察するとそのprototypeと部位特性から夫々のpartial functionの実態と縦分裂性動的平衡特性が鮮明になった。心腔壁は捻り応力に強いmonocock構造を取っている。その緻密壁は外層から内層へと微分的に方向をずらし90度の回転を遂げるが、容量変動の際の壁内stressの一様化に対応している。この原則は細胞的レベルでも細胞膜下の輪状原線維の縦配列を通してmonocock構造をとっている。 体節ごとに並列する血液駆動部は"organ concentration"によって単一心体制に変貌を遂げたが、そこには5つの区間(sinus-atrium-vetricle-conus-truncus)が継続的分節を余儀なくされている。上記の力学作業は専らatrio-venteiclo-conus に荷負わされるが、右室流出路の長いconus長に対し、左室流出路は極端にstraight短だけに、年少者では大動脈弁下の右方シフトにより代償されている。これは加齢的に弱まり、中隔基底部の左室流出路膨出が高齢心の重要な形態特性をなしている。 以上を背景contextとしていわゆる"原因不明"の特発性心筋症の心筋をグローバルに観察すると、DCMは単なる筋原線維の合成障害に基づく究極的不全形態への変貌であるのに対し、HCMは流出路の二連球分節化の一表現に外ならない事に気付かされる。中隔基底部の異常な肥厚はその分節輪の顕在化した必然的結果であろう。
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