研究課題
基盤研究(C)
1.LYVE-1抗体の作製平成16年度中に、今回の研究に必要な量の同抗体は充分に作製された。抗体は凍結保存した。2.正常消化管のリンパ管分布剖検時に採取した正常食道・胃・結腸をLYVE-1抗体で免疫染色。食道及び結腸の粘膜内にはリンパ管を認めず、胃粘膜には少数の毛細リンパ管が検出できた。粘膜下固有層にはいずれの消化管組織においても、豊富なリンパ管が認められ、特に粘膜筋板直下には多く分布していた。固有筋層では動静脈に沿って分布する傾向をみた。3.胃早期癌におけるリンパ管分布と癌のリンパ管侵襲手術摘出された132例の胃早期癌を検討。リンパ節転移群(66例)には21例にLYVE-1陽性のリンパ管に癌侵襲が認められ、リンパ節転移の無い群(66例)に比較して有意に多かった。リンパ管侵襲は癌周囲に観察され、腫瘍組織内には観察されなかった。腫瘍辺縁に2個以上のリンパ管侵襲がみられる場合には80%の確率でリンパ節転移があった。4.結腸癌におけるリンパ管増生と癌のリンパ管侵襲結腸癌160例を検討。m癌及びsm癌は40例、mp癌は60例、ss癌は60例で、それぞれ半数はリンパ節転移群である。LYVE-1陽性のリンパ管は癌周囲に認められたが、正常結腸に比較して増加を認めなかった。癌のリンパ管侵襲は、腫瘍辺縁・周囲に観察され、リンパ節転移群に有意に多かった。腫瘍細胞のリンパ管増殖因子であるVEGF-C発現とリンパ管数・リンパ節転移との関連を検討したところ、いずれも有意な関連を認めなかった。癌の増殖はリンパ管新生よりも早いために上記結果が生じたと思われる。5.まとめLYVE-1抗体を使用した免疫組織化学は、消化管のリンパ管分布検索に有用であり、胃癌や結腸癌におけるリンパ管侵襲の機構や意義を検討する上で極めて重要な位置を占めると考えられた。
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