研究課題/領域番号 |
16590300
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研究機関 | (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団 |
研究代表者 |
仲村 賢一 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 研究員 (60159069)
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研究分担者 |
田久保 海誉 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 参事研究員 (00154956)
下村 七生貴 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 助手 (10158751)
石井 章雄 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 助手 (60167244)
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キーワード | 高齢疾患 / テロメア / Tissue-FISH |
研究概要 |
これまで我々は、東京都老人医療センターで剖検された症例を中心にサザンブロット法(サザン法)にて各臓器のテロメア長の検索を行い、加齢に伴うテロメア長の変化についての基礎データを蓄積してきた。今回我々は、サザン法によるテロメア解析結果と培養細胞を用いたQ-FISHから得たテロメア長の分布の頻度を比較解析した結果両者は極めて強い相関を示し、これまで得られているサザン法によるテロメア長データの高い信頼性を確認した。 以上を背景に疾患の有無とサクセスフルエイジングは密接な関係にあるとの報告に着目し、テロメア長を指標とした高齢者特有の疾患との関係について基礎的データの蓄積を目的として、サザン法により得た4臓器(脳、心、肝、腎)のテロメア長について、サクセスフルエイジング群と非サクセスフルエイジング群を比較した。その結果、テロメアの長いことがサクセスフルエイジングの達成には有利であった。また、個人の臓器ごとのテロメア長は強い相関を示していることも確認できた。 個々の疾患としては高齢者で増加する癌のうち食道癌と大腸癌について組織FISHを用いて解析した。まず食道癌症例の組織FISHからは癌細胞のテロメア/セントロメア比(T/CR)は他の基底細胞や棘細胞、間質細胞と比較すると短縮が明らかであった。近年高齢者で増加傾向のある大腸癌組織においても同様の結果が得られた。また、培養細胞を用いた実験ではQ-FISHにてその分裂回数の増加と染色体ごとのテロメア長を解析した結果、分裂の増加に伴う特徴的な短縮を認める染色体は認めなかったが、X染色体についてはTelomere Association(TAS)の増加とX染色体欠失の増加を確認した。上記の報告にもあるようにこれらの結果をさらに詳細に解析することで寿命の性差に迫れるのではないかと考えている。
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