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2005 年度 実績報告書

GPI蛋白、中間フィラメントを標的とした乳癌細胞の浸潤・転移機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16590306
研究機関福井大学

研究代表者

稲井 邦博  福井大学, 医学部, 助手 (30313745)

研究分担者 法木 左近  福井大学, 医学部, 助教授 (30228374)
内木 宏延  福井大学, 医学部, 教授 (10227704)
キーワード乳癌 / 組織アレイ / ecto 5'-nucleotidase / 免疫染色 / マイクロアレイ
研究概要

膜脂質マイクロドメイン(lipid raft)に局在するGPIタンパクecto-5'-nucleotidase(5NT)と、中間フィラメントvimentin(Vim)が、乳癌細胞の浸潤・転移能獲得(上皮間葉形質転換)に関与する過程を、細胞運動、シグナル伝達の観点から検討し、5NTはリガンド刺激を受けると細胞質に転入し、少なくともVim、integrin β1、Srcと複合体を形成して、これらをscaffolding蛋白として形態変化を生じさせるとともに、integrin経路をbypass的に刺激して、細胞運動賦活化に寄与する可能性を示した。また、海外共同研究者とともに、乳癌細胞株が浸潤・転移能を獲得する過程で、histone deacetylase I(HDAC1)発現と関連して、5NTを含む1ipid raftタンパクと細胞骨格の有意な再構成が生じることを報告した(Mol Cancer Therapeutics,2006)。
そこで、今年度は、ヒト乳癌組織のtissue arrayを用いた免疫組織化学的解析を行い、HDAC1発現と5NT発現に、有意な正相関があること、5NTとestrogen receptor発現間に、有意な逆相関を示すこと、またVim発現とHDAC1発現に関連性のあることを明らかにした。一方、DNA microarrayを用い、高悪性ヒト乳癌細胞株MDA-MB-231、中間型悪性MDA-MB-468、並びにVim発現中間型悪性MDA-MB-468細胞株の遺伝子発現状況を比較し、Vim発現は乳癌細胞において、種々の遺伝子発現に影響を与え、上皮間葉形質転換に寄与するが、Vim発現は5NT発現に影響を与えないことを明らかにした。
以上の結果から、乳癌細胞が浸潤・転移能を獲得する過程で、5NTとVimはそれぞれ独立して発現誘導されてくるが、一旦その両者が発現すると、5NTのリガンド刺激に伴い、細胞内で結合して、細胞運動が賦活化されると推定している。来年度は、DNA microarrayの実験結果をreal time RT-PCR法を利用して検証した後、論文執筆・投稿する予定である。また、今年度、海外共同研究者とともに5NT特異的なリガンドを発見し、共著論文をJBCに投稿中である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Lipid rafts remodeling in estrogen receptor-negative breast cancer is reversed by histone deacetylase inhibitor.2006

    • 著者名/発表者名
      Ostapkowicz A, Inai K, Smith L, Kreda S, Spychala J.
    • 雑誌名

      Molecular Cancer Therapeutics 5・2

      ページ: 238-245

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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