GDNF刺激によりRETチロシンキナーゼの下流で誘導される遺伝子として同定されたGZF1の機能解析をさらに進めた。この遺伝子はZn fingerモチーフおよびBTB/POZドメインを有する新規転写因子と推察されている。腎臓の発生過程でureteric budに特異的に発現され、アンチセンスオリゴを用いた検討でも腎臓の器官形成に重要な役割を果たしていることを既に示している。昨年度中にCAST法を用いてGZF1のDNA結合配列を同定した。今年度はGZF1と、同定されたDNA結合配列の相互作用を詳細に検討するとともに、GZF1が発現調節する標的遺伝子の解析も進めた。まずGZF1の欠失変異体を作成して検討した。その結果、初めの6個のZn fingerがDNAとの結合に重要であることが示された。またGZF1は、同様のBTB/POZを有するZn finger蛋白であるPLZFやBCL6と同様にオリゴマーを形成し機能している可能性が示された。さらにプロモーター部位にGZF1結合配列を有するreporterベクターを作成した結果、GZF1により発現の抑制が得られることが示された。一方データベースサーチを行った結果、GZF1結合配列はHOXA10のプロモーター領域に含まれることが判明した。クロマチン免疫沈降法では、抗GZF1抗体による沈降物は、GZF1結合領域を含むことも判明し、実際にGZF1はHOXA10のプロモーター領域に結合しHOXA10の遺伝子発現の調整に関与している可能性が示唆された。今後はHOXA10が腎臓の器官形成にどの様な役割を果たしているか。腎臓以外の臓器を含むマウス発生過程全般における、GZF1の器官形成における関与についてさらに検討を加える予定である。 1I
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