研究課題
本研究は、ARPP蛋白質の分子機能を明らかとすることを目的としているが、これまでにすでに以下のような知見を得ている。1)ARPPは微小管と細胞内で共局在すること。すなわち、EGFP-ARPPを一過性に過剰発現させたHeLa細胞をレーザー共焦点顕微鏡で観察したところ、ARPPが微小管と共局在した。さらに生化学的(microtubules sedimentation assayならびにco-immunoprecipitation)な解析によってもARPPと微小管の結合が確認された。2)KB細胞にEGFP-ARPPを過剰発現させ、インスリン刺激したところ、EGFP-ARPPは刺激後5分で細胞質から細胞膜へ移動した。3)ARPPは分子モーターの一つであるkinesin II(KIF3AとKIF3Bのヘテロダイマー)に直接結合する。これらのことはARPPがインスリン刺激によりkinesin IIを介して、微小管上をマイナス端からプラス端へ向かって運搬されることを示唆する。そこで、分化誘導により内因性ARPPを発現誘導されたC2筋管細胞をインスリンで刺激すると、放射能ラベルされたグルコースの取込み能が亢進するが、この筋管細胞にsiRNAを導入してARPP発現を阻害したところ、インスリン刺激によるグルコース取り込み能が有意に低下することを発見した。さらにこれが個体レベルでも確認できるか否かをARPPノックアウトマウスを用いて解析した。すなわち、ノックアウトマウスと野生型マウスを用いてグルコース負荷テストをおこなったところ、ノックアウトマウスにおいては耐糖能の低下傾向を認めた。このことは、細胞レベルのみならず個体レベルでもARPPがインスリン依存的なグルコース取り込みに関与することを示唆している。
すべて 2004
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