研究概要 |
本年度は研究代表者(加藤)の久留米大学から琉球大学への転籍に伴い、琉球大学においても本研究に関する遺伝子組み換え実験(整理番号624)、動物実験(整理番号4461)の承認を得て、研究を継続した。in vitroの実験に関しては、易動脈硬化性とされるC57BL/6J系統のマウスより、Kobayashi等の方法(JAT,2005)により平滑筋細胞の単離培養を試み、wild type IL-4,Q116E IL-4 muteinのlipofectin法によるtransient transfectionを行い、細胞増殖、細胞分化(平滑筋actin、ミオシン重鎖)、炎症型形質発現(ICAM-1,MCP-1,IL-18)、血管壁リモデリングに関与する間質基質collagen, fibrotectin、それらの分解酵素MMP-1,MMP-2や分解阻害物質TIMP-1の発現、活性について検討中である。in vivoの実験に関しては、遺伝性動脈硬化モデルマウス(ApoE KO mice)の飼育と組織学的な動脈硬化病変の半定量法を構築し、継続して作製中のIL-4 muteinを発現するadenovirus vectorを用いて、全身的な炎症機転のスイッチ(Th1/TH2シフト)による硬化性病変の変化とその治療的意義を検討したい。公表した研究業績としては、炎症刺激に応答した細胞内酸化ストレス反応に重視されている低分子量G蛋白Rac-1の新規調整因子beta2-chimaerinについて、培養血管平滑筋で増殖因子下流のシグナルで活性化する事を証明した論文が掲載された。また、ラットの5/6腎摘出による高血圧性疾患モデルを用いて、全身性の炎症、酸化ストレス反応を仲介する一酸化窒素NO生成の調節機構について、内因性NO合成酵素阻害物質ADMAとその律速分解酵素DDAH系が関与する事を報告した。
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