研究課題
培養系を用いた実験では、C57BL/6Jマウス由来よりcollagenase法で単離した平滑筋様細胞をはじめ、他種の平滑筋細胞、間葉系幹細胞ST2を用いて、LPA等の動脈硬化性物質に対する増殖、分化形質発現、サイトカイン発現を検討し、形質転換刺激が、低分子量G蛋白racやNADPH依存性の細胞内酸化ストレス応答を介してMCP-1、IL-18等の炎症性蛋白発現を示す事を報告した。この経路はスタチンによって阻害される事から血管壁細胞の炎症性形質発現が、薬理学的な治療法探索上の標的となりうる事を示している。動物実験ではApoE knockout mouseにTh1サイトカインの代表であるINF-gammaの可溶性受容体の過剰発現を生じる抑制実験において、動脈硬化病変の程度や組織学的脆弱性の軽減を認め、Th1経路の動脈硬化誘発性を証明した。IL-4変異体によるTh2サイトカインの制御についても引き続き解析を進めている。またTh1/Th2双方のシグナリング制御に関与するIL-18について、SP-Aプロモーターにより肺特異的にIL-18を発現するtransgenic mouseの作製を試みたところ、ヒトの肺気腫に類似した病変や右心系負荷を来す病態モデルとなりうる事を見いだし報告した。エラスターゼによる肺気腫モデルではチオレドキシン等の抗酸化物質により病態改善が見られ、これらの事は、動脈硬化症や肺気腫などの慢性疾患において、サイトカインや酸化ストレス反応を介したいわゆるmicroinflammationの重要性を示唆するものであり、今後の病態解明や治療法開発において意義のある知見と考えられる。
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