|
ブラストシスチスは1912年にヒトから見い出されて以来、種々の哺乳類・鳥類・爬虫類・両生類からも見い出されている。これら種々の動物由来のブラストシスチス株は、形態的に類似しているため、それらを区別・分類することは困難であるが、我々がすでに開発した特異プライマーによる遺伝子型同定のシステムが応用可能である。一方、我々の研究成果から人畜共通性の株がニワトリに存在することが世界で始めて判明し、その後、ヒトや動物由来のブラストシスチス株間に遺伝子多型知られるようになった。さらに我々の研究成果から、ヒトから分離・株化されたブラストシスチス株と同じ遺伝子型を示す株が、ヒト以外の様々な動物由来株に見い出されたことから、このような遺伝子型に含まれる株は人畜共通性のブラストシスチス株と考えられ、種々の動物がヒトへの感染源となっている可能性が示された。ブラストシスチスは、消火器症状を引き起こす可能性も指摘されていることから、ヒトへの感染源となりうる動物種の同定や人畜共通性を実証することは重要なことである。我々はすでにラットとモルモット由来株を使って、世界で始めてブラストシスチスの感染動物モデルを作製した。さらに、動物間での感染伝播にはシスト型のみが担っていることを証明し、糞便内に排出されたシスト型を経口的に摂食することで感染が成立することを証明した。従って、様々な動物にブラストシスチスが高率に感染している事実は、他の腸管内寄生原虫と同様に感染動物が排出したシスト型がヒト感染源となりうることに注意する必要がある。
|
