研究概要 |
マンソン裂頭条虫の分泌因子中にLPS活性化マクロファージの遺伝子発現抑制因子が存在することを見出し、MonoQカラムを用いたイオン交換クロマトグラフィーと2種類のレクチンカラムによって、130kDaの免疫抑制因子(ES130)が得られた。 そこで、ES130のマウス腹腔マクロファージの遺伝子発現に及ぼす影響を検討した。ES130の添加群(100mg/ml)と非添加群をそれぞれ24時間培養後に100 ng/mlのLPSで刺激し3時間後と8時間後にRNAを回収し、semi-quantitative RT-PCR法によって遺伝子発現に及ぼす影響を評価した。IL-1βとCOX-2はLPS添加3時間後では抑制因子添加群の抑制は認められなかったが、8時間後には抑制因子添加群ではIL-βは32%,COX-2は46%抑制が認められた。また、抑制因子添加群のTNF-αはLPS添加3時間後に25%、8時間後に57%抑制された。このようにES130は、IL-1β,TNF一α, COX-2など炎症性メディエーターの遺伝子発現を抑制することが明らかになった。 また、同様の方法にてケモカインに対する影響を検討したところ、ES130添加群ではRANTESはLPS刺激3時間後に26%、8時間後に14%抑制され、 MIP-2は3時間後に34%、8時間後に74%抑制された。そして、KCは3時間後に54%、8時間後に81%抑制された。 ES130はこれらのケモカインの遺伝子発現を抑制し、好酸球、好中球、単球などの遊走を阻害すると推察された。
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