1)ブタ回虫性脊髓炎におけるブタ回虫由来糖脂質に対する抗体価測定及び責任抗原の同定 2)中枢神経糖脂質に対する抗体価の測定(cross-reactivityの検討) ブタ回虫幼虫移行症 脊髄炎型患者血清、髄液中には中性、両性、極性糖脂質抗原に対して高いIgG抗体価が検出され、そのIgGsubclassはIgG1であった。次に、患者血清を用いたTLC immunostainingによる解析を行った結果、脊髄炎型では中性、両性糖脂質抗原に共通の糖鎖構造がB細胞認識エピトープとなっていること、さらに両性糖脂質画分をフッ化水素(HF)処理することにより脱PC(ホスホリルコリン)化した糖脂質との脊髄炎患者髄液の反応性の結果から、患者B細胞の認識エピトープの構造はGalβ1-3(Galβ1-6)Galα1-3GalNAcβ1-4-のポリサッカライド糖鎖構造と考えられた。また、このようなブタ回虫糖脂質抗原に対するIgG反応は、臨床症状の悪化(増悪/再発)に伴い上昇すること、さらに一部の患者グループでは髄液でのみ顕著なIgG反応の上昇が認められることが明らかとなった。'また、ウシの脳由来の糖脂質であるガラクトセレブロシド、ガングリオシド、スルファチドに対するIgG抗体価の有無をELISA法にて検討したが、患者髄液中には有意な抗体価は検出されなかった。これらの解析結果から、ブタ回虫性脊髄炎の発症には、回虫幼虫の中枢神経系内への直接浸潤と、それに伴う感染局所(中枢神経系内)での宿主免疫応答が関与している可能性を示唆された
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