研究概要 |
病原真菌カンジダはエイズや免疫抑制剤等の投与によって免疫力の低下した患者に対して重篤な深在性感染症を起こすため問題となっている。我々はカンジダについてゲノムワイドな研究を進め生物学的に深く理解することにより優れた抗真菌薬標的遺伝子の開発を目指している。カンジダ属のうち患者から最も高頻度で分離されるのはCandida albicansであり,次にC.glabrataである。最近C.glabrataの症例が増加傾向にあり特に問題となっている。C.glabrataは、分子分類学的にパン酵母(Saccharomyces cerevisiae)に近縁であり、S.cerevisiaeにおいて蓄積されたゲノム情報等の膨大は基礎研究データと比較することによりC.glabrataにおける病原性解明と抗真菌薬の開発を進めている。まず、C.glabrataのゲノムライブラリーを作製し、シークエンスを決めプロモーター領域を推定した。次にプラスミド上のプロモーター領域を人為制御型プロモーターに置換した。PCR法により人為制御型プロモーターを含むDNAカセットを増幅し、そのPCR産物を用いてC.glabrataを形質転換した。この方法によって人為制御型プロモーターを挿入した組換え体を70遺伝子について作製した。しかし、この実験系では人為制御型プロモーターを含むDNAカセットの作製に多くの労力を必要とするためゲノムワイドな解析を進めるためにはこれを改善する必要が生じた。平成17年度は引き続き組み換え体の作製と同時に効率的な組み換え体の作製方法の開発も行う。
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