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2005 年度 実績報告書

赤痢菌の宿主細胞死誘導機構における分子基盤の確立

研究課題

研究課題/領域番号 16590354
研究機関東京大学

研究代表者

鈴木 敏彦  東京大学, 医科学研究所, 講師 (10292848)

キーワード赤痢菌 / 細胞死 / オートファジー
研究概要

樹状細胞やマクロファージといった抗原提示細胞へ赤痢菌が侵入する(あるいは貪食される)と、ファゴゾームを溶解して細胞質へ離脱するがその後細胞死を誘導することが知られている。この細胞死は赤痢菌の感染において局所の炎症惹起や菌の病巣拡大に重要な役割を果たしている。これまでに赤痢菌のエフェクターIpaBが宿主細胞のカスパーゼ-1に結合・活性化を誘導しカスパーゼ-1依存的に細胞死を誘導すると報告されているが、我々はカスパーゼ-1が赤痢菌による細胞死誘導に決して必須ではなくむしろ促進的に機能することを示してきた。赤痢菌による細胞死シグナルは細胞質に侵入したグラム陰性細菌に共通の因子によるものであり、これによりIpaBとは無関係にカスパーゼ-1の活性化が認められた。細胞死誘導因子の同定を行い最終的にLipid Aが細胞死誘導分子であることが示された。またlipid Aのアシル基の1つを欠損した変異株ではマクロファージに対する細胞死誘導活性が低下した。lipid A(あるいはLPS)がToll-like receptor(TLR4)を介してアポトーシス活性あるいは抗アポトーシス活性を誘導することは広く知られている。しかし、TLR4欠損マクロファージに赤痢菌が感染すると野生型マクロファージと同様に細胞死の誘導が認められた。したがって感染マクロファージの細胞質において赤痢菌から放出されるlipid AがTLR4を介さない全く別の細胞死誘導シグナルを刺激していることが示唆された。
赤痢菌の感染に伴って誘導されるカスパーゼ-1の活性化はIpaf inflammasomeと呼ばれるIpaf,ASC,カスパーゼ-1の複合体によることが明らかになった。実際にIpafあるいはASC欠損マクロファージに赤痢菌を感染させるとカスパーゼ-1の活性化は阻害された。したがって、感染したマクロファージの細胞質において菌体構成成分をIpafが認識することによりカスパーゼ-1活性化シグナルが誘導されることが示唆された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Escape of Intracellular Shigella from Autophagy2005

    • 著者名/発表者名
      Ogawa, M.
    • 雑誌名

      Science 307

      ページ: 727-731

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] A novel caspase-1/Toll-like receptor 4-independent pathway of cell death induced by cytosolic Shigella in infected macrophages2005

    • 著者名/発表者名
      Suzuki, T.
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry 280

      ページ: 14042-14050

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] Interaction of CagA with Crk plays an important role in Helicobacter pylori-induced loss of gastric epithelial cell adhesion2005

    • 著者名/発表者名
      Suzuki, M.
    • 雑誌名

      Journal of Experimental Medicine 202

      ページ: 1235-1247

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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