研究課題/領域番号 |
16590365
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
松崎 吾朗 琉球大学, 遺伝子実験センター, 教授 (30229455)
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研究分担者 |
新川 武 琉球大学, 遺伝子実験センター, 助教授 (50305190)
梅村 正幸 琉球大学, 遺伝子実験センター, 助手 (90359985)
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キーワード | 肺結核 / T細胞 / T細胞抗原レセプター / トランスジェニックマウス / 防御免疫 / Th1 |
研究概要 |
本研究では、肺結核における肺での免疫応答誘導の制御機構を検討するために、結核菌抗原Ag85B特異的CD4陽性T細胞のT細胞抗原レセプター(TCR)遺伝子を発現するトランスジェニック(P25-TCR Tg)マウスを用いた実験系を平成16年度に確立した。このシステムを用いて、Ag85Bに対する免疫応答を検討したところ、Ag85Bを発現するワクチン株BCGの皮下接種では、接種後1日から強いP25-TCR TgT細胞のインターフェロン-γ産生反応(Th1反応)とT細胞活性化マーカーCD69発現が認められたのに対し、肺への接種では、結核菌・BCGの場合何れも、Th1反応の出現が感染4週間以降と遅延した。結核菌死菌にAg85Bを混じて肺接種した場合でも、Th1反応の出現が2週間以降と、皮下接種に比べて遅延を示した。一方、CD69発現は、結核菌接種では4週間以降で増加が認められ、Th1反応誘導と一致したが、BCGあるいは結核菌死菌+Ag85B接種では3日で強い誘導が認められた。以上の結果から、肺では結核菌抗原に対するTh1反応め誘導を積極的に抑制するメカニズムが働いているものと推定された。一方、T細胞活性化マーカーCD69の発現から、肺での結核菌抗原特異的T細胞の活性化がTh1反応誘導に先立って早期より誘導されうるが、その活性化も結核菌の何らかの病原因子により抑制される可能性が考えられた。従って、肺固有のTh1反応抑制機構と、結核菌によるT細胞活性化抑制機構の両者を解除することが、肺における抗結核感染防御免疫応答の誘導には必要であることが強く示唆された。現在、この抑制機構の分子メカニズムを検討中であり、将来的にはこの結果を肺結核に対するワクチン開発と免疫学的治療に応用したい。
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