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2004 年度 実績報告書

病原性大腸菌のタイプIIIエフェクターの機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 16590370
研究機関北里大学

研究代表者

阿部 章夫  北里大学, 北里生命科学研究所, 教授 (50184205)

研究分担者 桑江 朝臣  北里大学, 北里生命科学研究所, 講師 (60337996)
キーワード腸管病原性大腸菌 / 腸管出血性大腸菌 / タイプIII分泌装置 / 下痢 / エフェクター / 微小管 / アクチン / GFF-H1
研究概要

申請者らは培養細胞にEPECを感染させると微小管ネットワークの破壊とアクチン繊維束の形成が顕著に誘導させることを見出した。Rho-kinase(ROCK)の阻害剤、RhoAのドミナントネガティブ型を発現させた細胞を用いた感染実験から、EPEC感染に伴うアクチン繊維束の形成は、RhoA-Rockシグナル伝達系の活性化によって誘導されることを明らかにした。また、これらの細胞骨格の再編成はタイプIII分泌装置に依存した現象であった。そこでタイプIII分泌装置によって宿主に移行するエフェクターの欠損株を作製し、それらを用いて感染実験を行った結果、EspGとそのホモログであるOrf3がアクチン繊維束の形成ならびに微小管の破壊を誘導するエフェクターであることを明らかにした。近年、GEF活性を持つGEF-H1と呼ばれる因子が同定された。この因子は微小管に局在している時は不活性であるが、微小管から解離すると活性化型GEF-H1に変換され、RhoAを特異的に活性化させる。GEF-H1のドミナントネガティブ型を発現させた細胞にEPECを感染させると、アクチン繊維束の形成は完全に抑制された。これについてはGEF-H1 mRNAに対するsiRNAに作製し、GEF-H1がEPEC感染時の細胞骨格再編成に関与することを確認した。さらにGSTプルダウン法にてEspG/Orf3は微小管構成因子であるチュブリンに直接結合することを明らかにし、精製にEspG/Ort3存在下でのin vitro微小管再構成系の実験より、EspG/Orf3は微小管破壊に関与することを明らかにした。以上の結果、EspG/Orf3は1)微小管ネットワークを破壊することでGEF-H1を活性化し、2)そのGEF活性によりRhoA-ROCKシグナル伝達系が活性化され、3)アクチン繊維束の形成を誘導することを明らかにした。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (6件)

  • [雑誌論文] 病原細菌のリーサルウェポン"III型分泌装置"2005

    • 著者名/発表者名
      桑江朝臣
    • 雑誌名

      蛋白質核酸酵素 50・1

      ページ: 20-28

  • [雑誌論文] Targeting of enteropathogenic Escherichia coli EspF to host mitochondria is essential for bacterial pathogenesis2005

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Nagai
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry 280・4

      ページ: 2998-3011

  • [雑誌論文] Type III effectors : Sophisticated bacterial virulence factors2005

    • 著者名/発表者名
      Akio Abe
    • 雑誌名

      Comptes Rendus BIOLOGIES (in press)

  • [雑誌論文] 蛋白質輸送:病原細菌エフェクターの宿主細胞への旅立ち2004

    • 著者名/発表者名
      阿部章夫
    • 雑誌名

      蛋白質核酸酵素 49・7

      ページ: 967-970

  • [雑誌論文] The type III secreted protein, BopD, in Bordetella bronchiseptica is complexed with BopB for pore formation on the host plasma membrane2004

    • 著者名/発表者名
      Hisashi Nogawa
    • 雑誌名

      Journal of Bacteriology. 186・12

      ページ: 3806-3813

  • [雑誌論文] Enteropathogenic Escherichia coli activates the RhoA signaling pathway via the stimulation of GEF-H12004

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Matsuzawa
    • 雑誌名

      The EMBO Journal 23・17

      ページ: 3570-3582

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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