研究課題
我々はすでに、ヒト胸腺細胞を用いた実験で、未熟T細胞ではLck分子とCD45分子が物理的に乖離しているためにLckが活性化されず、その結果として低反応であることを報告した。その後DNA microarrayによる検討を行った結果、未熟細胞では制御性T細胞のマスター遺伝子であるFoxP3 mRNAが末梢血よりも高発現していることが判明した。一方他の研究グループにより、成熟T細胞ではCD26がCD45ROに結合してT細胞を活性化するが、より未熟である臍帯血T細胞ではCD26がCD45RAに結合するために低反応であることが報告された。そこで我々は、未熟細胞の制御性T細胞とCD26の関わりに着目し、成熟度の異なるヒトT細胞について、制御性T細胞の代表的マーカーであるCD25分子と、CD26分子の関わりについて検討した。その結果、いずれの細胞系においても、CD25陽性T細胞のほぼすべてがCD26陽性であることが明らかになった。前述したように、CD26の挙動は成熟細胞と未熟細胞とで異なっていると報告されている。以上より、制御性T細胞の抑制機能も成熟細胞と未熟細胞で質的にも量的にも異なっていると考えられ、それが未熟細胞の低反応性の一因をになっている可能性が高い。現在我々は、制御性T細胞とそれ以外の細胞について、CD26がどのような機能を担っているのか、また、細胞の成熟度により、その機能がどのように異なってくるのかを検討中である。
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