昨年度に引き続き、制御性T細胞の成熟過程を検討するために、成熟度の異なる細胞系(臍帯血、成人末梢血)由来の制御性T細胞について、機能とphenotypeを検討した。 機能的解析では、CD4陽性でCD25を強発現している制御性T細胞と、CD4陽性だがCD25を発現していないeffector細胞を、CD3とCD28で共刺激して、増殖反応やサイトカイン産生をみた。成人末梢血由来の制御性T細胞は、刺激に対してanergy状態にあり、effector T細胞の増殖やサイトカイン産生を抑制するので、機能的に成熟した制御性T細胞であった。ところが、臍帯血由来の制御性T細胞は、成人末梢血由来の制御性T細胞に比べて、それらの機能が低下していることがわかった。制御性T細胞のphenotypeの解析はフローサイトメトリーを用いた。解析では、成人末梢血と臍帯血でattiudeが異なるCD26分子と、CD45RAとの関係に、特に注目した。成人末梢血はmemory typeのものが主体で、CD26陰性、FOXP3強陽性であった。成人末梢血の中にはnaive typeのものも少数存在するが、こちらは、CD26陽性、FOXP3弱陽性であった。臍帯血では、多くがnaive typeでCD26陽性FOXP3弱陽性であり、成人末梢血中のnaive typeのものに類似したphenotypeを示した。臍帯血でのFOXP3の低下は、Western blotによっても確認された。このようなphenotypeの相違が、臍帯血由来の制御性T細胞の機能低下に関係していることが推測される。また、制御性T細胞の成熟過程は、naive typeからmemory typeへの移行とCD26陽性から陰性への移行の2段階から成ると考えられた。
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