研究課題
基盤研究(C)
我々は、志賀毒素の重要な標的細胞のひとつであるヒト血管内皮を用いた実験系で、同じ細胞で、毒素受容体量も大きな変化がないにもかかわらず、毒素に対する反応性が1000倍以上低下して、細胞傷害を起こさなくなる現象を報告してきている。平成16年度は、まずヒト血管内皮の、二つの発現形質の背景にあるタンパク発現プロファイルの違いをcDNA subtraction法で比較した。その結果、毒素に高感受性の状態では、プロテアソームやガレクチン-1が多く、低感受性になるとフィブロネクチンやビメンチンが増加する現象が見出されたが、ガレクチンがアポトーシスに関連する可能性はあるものの、有意義な結果は得られなかった。次に、志賀毒素の活性サブユニットが相互作用をする細胞内タンパク質を、大腸菌をホストとしたtwo hybrid法で網羅的に検索し、small glutamine-rich tetratricopeptide repeat containing-α.(SGT)という蛋白と相互作用する可能性が示された。この分子は、細胞質で、細胞骨格や成長ホルモンレセプターの細胞内ドメインと相互作用して、細胞分裂やエンドサイトーシスに関わることが示唆されている分子である。平成17年度は、この分子に対するsiRNAを、我々独自の実験系である、ヒト血管内皮の初代培養系に移入してその発現を抑制した状態で毒素を作用させると、細胞傷害活性が抑制されることが確認された。また、網羅的な蛋白相互作用検索の結果は、SGTと毒素の活性サブユニットのみを大腸菌に発現させたtwo hybrid法で確認できたが、一方で、毒素活性サブユニットがホスト細胞内において蛋白分解酵素で処理された後の分子は、SGTとの相互作用は確認できず、毒素が細胞へ取り込まれた後、Trans Golgi networkに達するプロセスにSGTが関与していることが示唆された。
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