研究課題/領域番号 |
16590375
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
西野 武志 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (50097838)
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研究分担者 |
後藤 直正 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (30121560)
大槻 雅子 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (30121552)
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キーワード | インフルエンザ菌 / 多剤耐性 / 異物排出システム / acrB / BLNAR / RND型排出タンパク質 / β-ラクタム薬 / 特異抗体 |
研究概要 |
β-lactamase非産生でアンピシリン耐性株(BLNAR:β-lactamase negative ampicillin resistant H.influenzae)の薬剤耐性にRND型排出システムのAcrABタンパク質が寄与している可能性があるが、その詳細は明らかになっていない。今回、私どもはインフルエンザ菌のRND型排出システムの基質認識の本体と考えられているAcrBの性状と薬剤耐性との関係について検討を行った。AcrABが過剰発現している臨床分離株の中からAcrBを欠失させたところ、基準株であるATCC51907株由来の過剰発現株では見られないセファレキシンやセファゾリンなどのβ-ラクタム薬の感受性の変化が現れるなど、ATCC51907株のAcrAB過剰発現株とは異なった耐性プロフィールの変化が見られた。 これらの結果より、AcrBのアミノ酸の変化により、AcrBの基質域が拡大しているのではないかと考え、臨床分離株のacrBの塩基配列を解析し、ATCC51907のacrBの塩基配列と比較検討した。解析結果を、結晶構造が推定されている大腸菌のAcrBの立体構造に当てはめて、考察を加えた。その結果、変異の箇所は基質の通り道となるvestibule entranceの領域に集中している事が判った。また、AcrBの検出のため、AcrBの特異抗体の作製を行った。AcrBタンパク質の巨大ループをコードする領域を大腸菌で発現させ、そのタンパク質を抗原とする抗体を作製した。その結果、AcrBを検出することが可能な抗体を作製することができた。そして、インフルエンザ菌の染色体上にコードされる排出タンパク質の性状解析を行うため、インフルエンザ菌でのタンパク質発現ベクターの作製に取り組んだ。ホスト域が広いRSF1010由来のプラスミドpJRD215を基点とし、ΩGmカセットとlacI^qおよびPtacを保有したpYK01を作製し、この発現ベクターを用いて、インフルエンザ菌内でタンパク質の発現が認められるかどうかを検討したところ、その発現を確認する事ができた。
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